「なーんだ、ボイラーの資格も持ってないのか?」
63歳でホテルの営繕(メンテナンス)職に入ったとき、私はそう言われて少し馬鹿にされました。悔しかったのは事実です。でも、それ以上に「よし、それなら取ってやろう」という気持ちに火がつきました。
この記事は、64歳の私が二級ボイラー技士試験に独学で挑戦した記録です。
結論から先に言ってしまうと、この試験は過去問を繰り返し解くだけで合格できます。
実際に他の受験者も口を揃えてそう言っていました。私自身の勉強法・使った教材・試験当日の様子まで、正直に書いていきます。
なぜ64歳でボイラー技士2級に挑戦したのか
きっかけは、冒頭のひと言でした。前に勤めていたホテルは旧式の丸ボイラーを使っていました。ビルメン(営繕)の仕事をする上で、ボイラー技士は本来なら持っていて当たり前の資格です。それを持たずに入職した私は、少しばかり肩身の狭い思いをしたわけです。
ただ、動機はそれだけではありません。私はもともとボイラーの仕組みそのものに強い興味がありました。そして、これからこの面白い営繕の仕事を長く続けていくなら、この資格はどうしても必要だと考えました。ボイラーはいずれ廃れていく設備かもしれません。今の現場ではGHP(ガスヒートポンプ)を使っているので、この資格が直接活かされる場はありません。それでも、私にとってはぜひ取っておきたい資格だったのです。
こうして、64歳での挑戦が始まりました。
使った教材とiPad・AI活用術
独学で使った教材は、たった1冊です。
教材:公論出版「これ1冊で合格! 2級ボイラー技士 令和7年版 図解テキスト&過去問6回」(税込2,200円)
この教材を選んだいちばんの理由は、過去問と解説が豊富に手に入ることです。後で詳しく書きますが、この試験は過去問がすべてと言ってもいいくらいなので、問題数と解説の充実度が教材選びの決め手になりました。
しかも、この教材には嬉しい特典が付いていました。冊子に載っている過去問6回分に加えて、購入特典としてWeb上で過去問11回分が手に入るのです。合わせて17回分。税込2,200円でこれだけの問題数が解けるのですから、コストパフォーマンスは抜群でした。
そしてもう一つ、私の勉強を支えてくれたのが iPad mini と Apple Pencil Pro です。危険物取扱者甲種の学習法のところでも書きましたがこれを常時使い、テキストや過去問を取り込んで書き込みながら進めました。紙のテキストと違い、かさばらず、どこでもサッと開けるのが良いところです。60代の独学こそ、こうしたデジタルツールの恩恵は大きいと感じています。

分からない用語や概念は、生成AI「Claude」に教わった
そして、今回の勉強で1番の相棒になってくれたのが、生成AIの Claude でした。
過去問を解いていると、テキストにも載っていない用語や概念にたびたびぶつかります。そんなとき、Claudeに聞けばその場で解説してくれました。過去問の答えそのものが怪しいと感じたときの確認にも使いました。
特に助けられたのが、初学者にはイメージしづらい専門用語の”図解”です。例えば——
- 換算蒸発量とボイラー効率の計算式
- ドラムの長手継手と周継手、どちらが強いのかという法則(ここは受験者がよく間違えるところです)
- 管ステーの溶接の仕方
- ガセットステーを平板に取り付けるときの両側すみ肉溶接
こうした聞き慣れない言葉を、Claudeは図や身近な例えを交えて噛み砕いてくれました。テキストと過去問だけでは越えられなかった壁を、AIがぐっと低くしてくれた感覚です。
ただし、一つだけ注意があります。生成AIの回答は、もっともらしくても間違っていること(ハルシネーション)があります。 私はAIの説明を鵜呑みにせず、必ずテキストや過去問の解説と照らし合わせて確認するようにしていました。AIは「わかりやすい先生」ですが、最終的な正解の裏取りは自分でやる。これは資格勉強にAIを使う上での鉄則だと思います。
私は危険物取扱者甲種試験勉強の時にAIとしてGeminiにて手伝ったもらいましたが訳有って、今回はClaudeにしました。理由については機会があればそちらでお話したいと思います。
勉強期間と1日の勉強時間
本気で勉強したのは、5月20日から7月10日までのおよそ50日間です。1日の勉強時間は 60分から90分。これを毎日コツコツ続けました。
一気に何時間も詰め込むのではなく、毎日1時間前後を淡々と積み重ねる。これが60代の私にはちょうど良いペースでした。無理のない時間だからこそ、途中で息切れせずに続けられたのだと思います。
苦労した点|ボイラーの構造がイメージできない
正直に書いておくと、最初のうちは苦労しました。
1番手こずったのは、ボイラーの構造がイメージできなかったことです。丸ボイラー、水管ボイラー、鋳鉄製ボイラー——テキストにはいろいろな種類が出てきますが、これをどう区別して、どう覚えたらいいのか、最初はさっぱり分かりませんでした。
ところが、過去問を解いているうちに、少しずつ理解が深まっていきました。「ああ、この構造だからこういう特徴になるのか」と、問題を通して腑に落ちていく感覚です。白状すると、今でもまだよく理解しきれていない部分もあります。それでも試験に受かるだけの理解には、過去問が連れて行ってくれました。
ボイラー実技講習を受講
二級ボイラー技士は、学科試験に合格するだけでは免許がもらえません。免許交付には、別途 ボイラー実技講習(3日間)の受講が必要です。
私は 5月30日から6月1日 にかけて、この実技講習を受けてきました。学科の勉強と並行する形になりましたが、実物のボイラーに触れる講習は、机の上ではイメージできなかった構造を理解する助けにもなりました。受講は受験の前でも後でも良いのですがこれから受験を考えている方は、実技講習を先に済ませておくことをお薦めします。
試験当日の様子
試験は、1級と2級の受験者が同じ会場で同時に受験する形でした。1級が10名ほど、2級が100名くらいだったでしょうか。女性は1名だけでした。
手応えは、おそらく満点だったと思います。自宅で過去問を解くと、1回40問を平均17分ほどで終えられるようになっていました。本番でも、およそ17〜18分で解き終えた感覚です。
その後は退席が許されるまで40分ほど、見直しをしたり、マークシートを塗り直したり、ぼーっと時間をつぶしたりしていました。試験開始から1時間が経った時点で退席したのは15名くらい。意外と少ないな、というのが正直な印象です。試験監督官は4名いて、時間は厳守でした。
当日の会場の雰囲気は 危険物取扱者甲種を受けたときと同じくらいちょっと和やかなものでした。それは以前、第二種電気工事士を受けた時の会場の何やらピリピリしていて緊張したそれとは対照的でした。場数を踏むと、こういう心の余裕も生まれてくるものなのかもしれません。
過去問を繰り返すだけで受かる、という結論
散々書いてきましたが、この試験の攻略法は結局これに尽きます。過去問を繰り返し解くこと。
私は冊子とWeb特典を合わせた過去問17回分を、3〜4周繰り返し解きました。すると、4周目には1回40問のうち平均で90%以上を正解できるようになっていました。ここまで来れば、合格ラインである「各科目40%以上・全体60%以上」は十分に超えられます。
これは私だけの感想ではありません。二級ボイラー技士は、過去問を繰り返すだけで受かる試験です。
まとめ
64歳での二級ボイラー技士への挑戦を振り返ると、決して難しい試験ではありませんでした。ポイントを整理します。
- 教材は1冊で十分:公論出版の図解テキスト&過去問6回(税込2,200円・Web特典11回分付き)
- 勉強期間は約50日(この内さぼったのが4,5日なので実質45日くらい)、1日60〜90分で無理なく継続
- 免許交付には実技講習(3日間)が別途必要
- 合否を分けるのは過去問の反復。3〜4周すれば9割は取れる
年齢を理由に資格取得をためらっている方がいたら、私は「やってみてください」と伝えたいです。63歳で馬鹿にされた私でも、こうして挑戦できました。次に現場で「ボイラーの資格は?」と聞かれたら、今度は胸を張って答えられます。
64歳からでも、資格への挑戦は遅くありません。
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※本記事は個人的な受験体験に基づく感想です。試験制度・教材の内容は変更される場合がありますので、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。
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